鋳造品におけるショットブラスト

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鋳造品の仕上げに欠かせないショットブラスト。本記事では、実際の導入事例を交えながら、装置設計のポイントやメディア選定の考え方など、鋳造現場で役立つ情報を紹介します。

鋳造品における
ショットブラストの役割

鋳造品におけるショットブラストの主な目的は、鋳物砂の脱砂やスケールの除去です。鋳造時に付着した鋳物砂や、冷却過程で発生するスケールを効率的に取り除くことで、その後の塗装やメッキなど表面処理の密着性を大幅に向上させます。

また、ショットブラストは、高速で衝突するメディアの運動エネルギーを利用し、ワーク表面に塑性変形※1を引き起こします。これにより、圧縮残留応力層※2が形成され、微小な亀裂を閉じるとともに、表面の硬度、耐疲労性、耐摩耗性が向上し、製品の寿命を延ばす効果も期待できます。

※1 塑性変形…力を加えると形が元に戻らない変形。
※2 圧縮残留応力…外部からの力が加わっていない状態でも、材料の内部に残っている圧縮方向の力。

鋳造品における
ショットブラスト事例

導入前の課題:既存設備では小物ワークの処理に対応できない

導入前の画像
画像引用元:富士酸素工業公式HP(https://fujisanso.co.jp/smart-factory/case/7/)

静岡県東部の建築業I社では、既存のショットブラスト機に投入できないワークがあり、穴あけや切断後でなければ処理できない工程が課題となっていました。

とくに小物加工のワークは既存設備で対応できず外注に頼っていたため、素材段階からブラスト処理を行い、内製化を進めることが求められていました。

導入後の効果:小物加工を内製化し、工程短縮とコスト削減を実現

導入後の画像
画像引用元:富士酸素工業公式HP(https://fujisanso.co.jp/smart-factory/case/7/)

ショットブラスト機を導入したことで、素材段階からのショット加工が可能となり、既存設備では対応できなかった小物ワークの内製化を実現しました。

また、生産工程を「ショットブラスト・穴あけ加工・切断」とシンプルにすることで、生産時間の短縮と生産量の増加を同時に達成。これまで外注に依存していた工程も内製化でき、生産コストの削減にもつながりました。

鋳造品におけるショットブラスト機の設計ポイント

脱砂・スケール除去と
バリ取りを同時に行う設計

鋳造品の後処理では、脱砂、スケール除去、バリ取りなどの異なる表面処理工程を、1台のショットブラスト機で完結できる設計が求められます。

例えば、ショットブラスト機内でのメディアの切替機構を備えることで、粗いメディアによる脱砂処理と、より細かいメディアによるバリ取りを連続して行うことが可能です。また、ノズル角度や回転制御の適正化によって、鋳肌の凹部や複雑なアンダーカット形状にも均一な処理が行えます。

ワーク硬度とメディア硬度の
バランス

ショットブラストの加工品質は、ワークの硬度と、投射するメディアの硬度バランスによって大きく左右されます。メディアが硬すぎるとワークに過度な打痕や損傷を与えるリスクがあり、逆に柔らかすぎると目的の加工効果を得るために多くの時間やメディアが必要に。

適切なバランスを保つことは、加工品質の安定だけでなく、装置内部の摩耗を抑え、運用コストを削減するためにも不可欠です。

ワーク回転・搬送方法の工夫

鋳造品は、小型精密部品から大型の構造物まで多岐にわたるため、ワークの形状やサイズ、生産量に応じた搬送方法の選択が重要です。大物・重量物にはテーブル式、小物・薄物にはドラム式、大型鋼材の連続処理にはハンガー式、複雑形状にはロボット式など、多種多様な方式があります。

自動搬送システムは、手作業による品質のばらつきを排除し、安定した加工品質を保つことができます。

加工部品に応じた装置選び

鋳造現場でも、加工部品のサイズや形状に応じてショットブラスト機の選定が変わります。鋳物砂やスケール除去にはハンガー式や台車式が多く採用され、大物鋳物にはクレーン式、小物部品の大量処理にはドラム式が利用される例が一般的です。

このように、部品の素材や形状によって適した装置は変わるため、導入や入れ替えにあたっては、自社のワークに近い事例を確認することが導入・更新時の判断材料となります。

本サイトでは、加工部品別に適したショットブラスト機メーカーを紹介しているので、合わせてご確認ください。

鋳造現場への導入は
装置の設計が鍵

鋳造現場におけるショットブラストの導入は、単なる表面処理にとどまりません。脱砂、スケール除去、バリ取りなどの基本機能に加え、ショットピーニング(金属部品の耐久性や信頼性を向上させる冷間塑性加工技術)による耐疲労性や耐摩耗性の強化も実現します。

鋳造品の多様なニーズに応え、品質向上とコスト削減を両立させるためには、自社のワーク特性生産体制に合わせた適切な装置設計が不可欠だと言えるでしょう。

【部品別】
ショットブラスト機
メーカー3選

ショットブラスト機は、加工部品の素材や形状に適した装置を選ぶことで、処理速度の向上やコスト削減が可能。メーカーごとに得意とする部品のタイプが異なるため、加工する部品に応じた装置選びが欠かせません。ここでは、部品ごとにおすすめのショットブラスト機を扱うメーカーを紹介します。

鋳造・鍛造・製缶・製鋼部品
なら

太洋マシナリー

太洋マシナリーの公式HPキャプチャ
画像引用元:太洋マシナリー公式HP(https://www.omco-taiyo.co.jp/)
大型ワーク・硬質スケール
に応えるカスタム設計

鋳造・鍛造・製缶・製鋼部品の附着砂や錆・スケール落しを目的とし、ワークの形状・材質・処理能力に対応したショットブラスト装置をカスタム対応。
標準機械も取り揃えており、用途に応じたレイアウトとオプション仕様でセミカスタム設計しています。

メンテナンス性・
消耗部品寿命にこだわった機能

高性能セパレーターと最適なライニング材で不純物を除去し、鋳造・鍛造・製缶・製鋼部品の製品表面仕上がり状態を改善し、消耗部品の延命が期待できます。
用途に合わせて消耗部品やキャビネットライニングの材質と取付方法を選定し、メンテナンスを簡素化します。

半導体・電子部品
なら

不二製作所

不二製作所の公式HPキャプチャ
画像引用元:不二製作所公式HP(https://www.fujimfg.co.jp/)
超微粒子技術で
再現性が高い精密処理を実現

1μm以下の超微粒子研磨材を安定して噴射できる装置に、独自の研磨材定量制御技術を搭載することで、低圧での安定噴射を実現
繊細な製品加工の再加工や検査負担を軽減します。

精密生産ラインと
クリーン環境に対応する設計

精密加工向けに多関節ロボット自動化を搭載したショットブラスト機を提供。
クリーンルーム環境での運用にも配慮し、処理精度と清浄性の両立をサポートします。精密生産ラインにも組み込みやすい設計です。

航空機・ロケット部品
なら

Wheelabrator
(ホイール・アブレーター)

Wheelabrator(ホイーラブレイター)の公式HPキャプチャ
画像引用元:Wheelabrator公式HP(https://www.wheelabratorgroup.com/)
トレーサビリティ機能で
厳しい要求仕様に対応

航空機メーカーと共同開発し、航空部品に特化した装置を提供
処理条件や稼働状態をリアルタイムで記録・管理できるトレーサビリティ機能により、航空機・宇宙開発業界の厳格な品質要求に応えます。

機能性向上に直結する
ムラのない処理

疲労強度の向上や応力腐食割れの抑制など、航空機部品で重視される性能改善に特化したショットピーニング装置を開発
CNC制御や多軸ロボットによる精密な噴射制御で、均一なピーニング処理を実現します。