ハンガー式ショットブラストは、回転フックにワークを吊り下げ、ブラスト室内で回転させながら研磨剤を投射する装置です。製品を反転させずに全面を処理しやすく、中〜大型部品や重量物、傷・打痕を避けたい製品の加工に適しています。
ショットブラストは、インペラ(羽根車)を高速回転させ、その遠心力で研磨剤を投射し、金属表面のさび落としや下地処理を行う加工法です。ハンガー式では、回転フックに製品を吊り下げ、自動で連続回転させながら加工します。
製品をハンガーへ掛けて固定します。中〜大型部品や重量物は、ホイストを使用して吊り下げる方法にも対応できます。
ワークを吊り下げた状態でブラスト室へ搬入します。製品同士を攪拌しないため、接触による傷や打痕を避けやすい点が特徴です。
ワークを自動で連続回転させ、あらゆる角度から研磨剤を投射します。一度の処理で全面を加工しやすく、反転作業を省きながら均一な仕上がりを目指せます。
| 比較項目 | ハンガー式 | タンブラー式 | テーブル式 |
|---|---|---|---|
| ワークの扱い方 | 回転フックへ吊り下げる | ドラム内でワークを攪拌する | テーブル上へワークを置く |
| 全面処理 | 自動回転により、一度の工程で全面を処理しやすい | 攪拌しながら複数方向から処理する | 片面ずつ処理し、全面加工では反転作業が必要 |
| 主な留意点 | 最大寸法・重量とハンガー耐荷重の確認が必要 | 製品同士の衝突による打痕・傷のリスクがある | 重量物を途中で反転させる場合、作業負担が生じる |
製品同士の接触を避けたい、複雑形状を全面処理したい、重量物の反転作業を減らしたい場合は、ハンガー式が有力な候補になります。
ハンガー式は、仕上がり品質だけでなく、重量物の取り扱いや生産ラインの自動化といった現場課題の解決にもつなげられます。
製品を吊り下げて加工するため、製品同士の衝突による傷や打痕を避けやすく、傷・打痕が許されない精密部品や、変形・割れが懸念される製品にも対応できます。
ワークを自転させながらさまざまな方向から投射材を当てることで、複雑な形状でも死角を抑え、全体をムラなく仕上げやすくなります。
ハンガーに製品を掛けてセットするため、手作業では扱いにくい中〜大型部品や重量物の処理に向いています。ホイストを使用すれば、作業者の負担を抑えながら搬入出できます。
加工途中で重量物を裏返す必要がなく、作業負担の軽減や現場の安全性向上につながる点も、大型部品の加工に適している理由です。
オーバーヘッドコンベアなどの搬送設備と連動させることで、既存の自動化ラインへ組み込むことが可能です。ライン化により、リードタイムの短縮や人件費の削減も期待できます。
機種やメーカーを比較するときは、処理能力だけでなく、ワークが安全に回転できる余裕、投射の死角、集塵機を含む日常保全まで確認することが大切です。
処理するワークの最大寸法と重量を正確に把握し、ハンガーの耐荷重とブラスト室の有効寸法を確認します。余裕のないサイズを選ぶと、投射時の揺れによって製品が壁面へ接触する可能性があります。
現在の最大ワークだけでなく、将来的に製品が大型化する可能性も考慮します。寸法と耐荷重に余裕を持たせることで、選定後のサイズ不足を防ぎ、長期的に活用しやすくなります。
ワークの形状に対して、インペラが適切な位置と角度に配置されているかを確認します。死角なく投射できる配置であれば、処理時間の最適化につながります。
あわせて、集塵機の性能、フィルターの交換頻度、清掃のしやすさを確認し、集塵性能と日々のメンテナンス性を比較してください。
導入費用を本体価格だけで評価すると、実際の投資効果や運用負担を見誤る可能性があります。初期費用、導入効果、消耗品、設置工事、周辺環境への影響を分けて確認しましょう。
ショットブラスト機の導入では、自社が解決したい課題を明確にしてから、機種とメーカーを比較することが重要です。
現場の課題に必要なスペックを整理し、次の4項目で候補を比較してください。
ハンガー式ショットブラスト機は、製品を吊り下げて回転させながら処理するため、製品同士の衝突による打痕を避けやすく、複雑形状のワークも均一に仕上げやすい設備です。中〜大型部品や重量物を扱いやすく、自動化ラインへ組み込める点もメリットです。
導入時は、初期費用や摩耗部品のランニングコストだけでなく、生産性向上、歩留まり改善、人件費削減などの効果を含めて判断しましょう。自社のニーズに合う機種と、導入後も支援を受けられるメーカーを選ぶことが、設備を長期的に活用するためのポイントです。
ショットブラスト機は、加工部品の素材や形状に適した装置を選ぶことで、処理速度の向上やコスト削減が可能。メーカーごとに得意とする部品のタイプが異なるため、加工する部品に応じた装置選びが欠かせません。ここでは、部品ごとにおすすめのショットブラスト機を扱うメーカーを紹介します。
太洋マシナリー
鋳造・鍛造・製缶・製鋼部品の附着砂や錆・スケール落しを目的とし、ワークの形状・材質・処理能力に対応したショットブラスト装置をカスタム対応。
標準機械も取り揃えており、用途に応じたレイアウトとオプション仕様でセミカスタム設計しています。
高性能セパレーターと最適なライニング材で不純物を除去し、鋳造・鍛造・製缶・製鋼部品の製品表面仕上がり状態を改善し、消耗部品の延命が期待できます。
用途に合わせて消耗部品やキャビネットライニングの材質と取付方法を選定し、メンテナンスを簡素化します。
不二製作所
1μm以下の超微粒子研磨材を安定して噴射できる装置に、独自の研磨材定量制御技術を搭載することで、低圧での安定噴射を実現。
繊細な製品加工の再加工や検査負担を軽減します。
精密加工向けに多関節ロボット自動化を搭載したショットブラスト機を提供。
クリーンルーム環境での運用にも配慮し、処理精度と清浄性の両立をサポートします。精密生産ラインにも組み込みやすい設計です。
Wheelabrator
(ホイール・アブレーター)
航空機メーカーと共同開発し、航空部品に特化した装置を提供。
処理条件や稼働状態をリアルタイムで記録・管理できるトレーサビリティ機能により、航空機・宇宙開発業界の厳格な品質要求に応えます。
疲労強度の向上や応力腐食割れの抑制など、航空機部品で重視される性能改善に特化したショットピーニング装置を開発。
CNC制御や多軸ロボットによる精密な噴射制御で、均一なピーニング処理を実現します。