ブラスタン|ショットブラスト機メーカー比較・選び方ガイド » ショットブラストの基礎知識 » ハンガー式ショットブラストとは?特徴や選定基準を解説

ハンガー式ショットブラストとは?特徴や選定基準を解説

目次
目次を開く

ハンガー式は「複雑形状をムラなく処理し、
製品同士の衝突も避けたい現場」に向く方式です

ハンガー式ショットブラストは、回転フックにワークを吊り下げ、ブラスト室内で回転させながら研磨剤を投射する装置です。製品を反転させずに全面を処理しやすく、中〜大型部品や重量物、傷・打痕を避けたい製品の加工に適しています。

向いているワーク・現場 複雑形状、精密部品、変形・割れが懸念される製品、中〜大型部品、重量物、自動化したい工程
選定前に確認したいこと 最大寸法・重量、ハンガー耐荷重、投射装置の配置、集塵性能、摩耗部品、天井高と工場レイアウト

ハンガー式ショットブラストとは?基本構造と仕組み

ショットブラストは、インペラ(羽根車)を高速回転させ、その遠心力で研磨剤を投射し、金属表面のさび落としや下地処理を行う加工法です。ハンガー式では、回転フックに製品を吊り下げ、自動で連続回転させながら加工します。

  1. 回転フックへワークを吊り下げる

    製品をハンガーへ掛けて固定します。中〜大型部品や重量物は、ホイストを使用して吊り下げる方法にも対応できます。

  2. ブラスト室へ搬入する

    ワークを吊り下げた状態でブラスト室へ搬入します。製品同士を攪拌しないため、接触による傷や打痕を避けやすい点が特徴です。

  3. 回転させながら全面へ投射する

    ワークを自動で連続回転させ、あらゆる角度から研磨剤を投射します。一度の処理で全面を加工しやすく、反転作業を省きながら均一な仕上がりを目指せます。

ハンガー式と他方式の違い
比較項目 ハンガー式 タンブラー式 テーブル式
ワークの扱い方 回転フックへ吊り下げる ドラム内でワークを攪拌する テーブル上へワークを置く
全面処理 自動回転により、一度の工程で全面を処理しやすい 攪拌しながら複数方向から処理する 片面ずつ処理し、全面加工では反転作業が必要
主な留意点 最大寸法・重量とハンガー耐荷重の確認が必要 製品同士の衝突による打痕・傷のリスクがある 重量物を途中で反転させる場合、作業負担が生じる

製品同士の接触を避けたい、複雑形状を全面処理したい、重量物の反転作業を減らしたい場合は、ハンガー式が有力な候補になります。

ハンガー式ショットブラスト3つのメリット

ハンガー式は、仕上がり品質だけでなく、重量物の取り扱いや生産ラインの自動化といった現場課題の解決にもつなげられます。

  1. 打痕を防ぎ、複雑形状・割れやすい製品に対応

    製品を吊り下げて加工するため、製品同士の衝突による傷や打痕を避けやすく、傷・打痕が許されない精密部品や、変形・割れが懸念される製品にも対応できます。

    ワークを自転させながらさまざまな方向から投射材を当てることで、複雑な形状でも死角を抑え、全体をムラなく仕上げやすくなります。

  2. 中〜大型部品・重量物を搬入出しやすい

    ハンガーに製品を掛けてセットするため、手作業では扱いにくい中〜大型部品や重量物の処理に向いています。ホイストを使用すれば、作業者の負担を抑えながら搬入出できます。

    加工途中で重量物を裏返す必要がなく、作業負担の軽減や現場の安全性向上につながる点も、大型部品の加工に適している理由です。

  3. 自動化ラインへ組み込みやすい

    オーバーヘッドコンベアなどの搬送設備と連動させることで、既存の自動化ラインへ組み込むことが可能です。ライン化により、リードタイムの短縮や人件費の削減も期待できます。

選定基準と他社比較のポイント

機種やメーカーを比較するときは、処理能力だけでなく、ワークが安全に回転できる余裕、投射の死角、集塵機を含む日常保全まで確認することが大切です。

  • ワークの最大寸法・重量とハンガー耐荷重

    処理するワークの最大寸法と重量を正確に把握し、ハンガーの耐荷重とブラスト室の有効寸法を確認します。余裕のないサイズを選ぶと、投射時の揺れによって製品が壁面へ接触する可能性があります。

  • 将来の大型化を含めたサイジング

    現在の最大ワークだけでなく、将来的に製品が大型化する可能性も考慮します。寸法と耐荷重に余裕を持たせることで、選定後のサイズ不足を防ぎ、長期的に活用しやすくなります。

  • インペラの配置と集塵・保全性能

    ワークの形状に対して、インペラが適切な位置と角度に配置されているかを確認します。死角なく投射できる配置であれば、処理時間の最適化につながります。

    あわせて、集塵機の性能、フィルターの交換頻度、清掃のしやすさを確認し、集塵性能と日々のメンテナンス性を比較してください。

導入時のリスク・懸念点とコスト感

導入費用を本体価格だけで評価すると、実際の投資効果や運用負担を見誤る可能性があります。初期費用、導入効果、消耗品、設置工事、周辺環境への影響を分けて確認しましょう。

初期費用と費用対効果
ハンガー式ショットブラスト機の導入には高額な初期費用が発生します。単純な購入費だけでなく、処理時間の短縮、歩留まりの改善、人件費の削減、将来的な利益を含めて費用対効果をシミュレーションしてください。
摩耗部品とランニングコスト
インペラのブレードや庫内の保護ライナーなど、摩耗部品は定期的な交換が必要です。部品ごとの交換頻度、価格、交換作業のしやすさ、供給体制を確認し、年間のランニングコストを見積もります。
設置工事と工場レイアウトへの影響
装置によっては、天井高の確保や振動に耐える基礎工事が必要です。稼働時の騒音や粉塵漏れへの対策も含め、搬入経路、設置スペース、既存設備との干渉、保全作業の動線を事前に明らかにしておきましょう。

【解決策】課題に合わせたショットブラスト機を選ぼう

ショットブラスト機の導入では、自社が解決したい課題を明確にしてから、機種とメーカーを比較することが重要です。

メーカー比較では、装置仕様と導入後の支援をセットで確認する

現場の課題に必要なスペックを整理し、次の4項目で候補を比較してください。

  • 必要な処理能力と仕上がり品質
  • 打痕・変形・死角への対策
  • 保全作業のしやすさと消耗部品費
  • 導入後のメンテナンスと部品供給

まとめ

ハンガー式ショットブラスト機は、製品を吊り下げて回転させながら処理するため、製品同士の衝突による打痕を避けやすく、複雑形状のワークも均一に仕上げやすい設備です。中〜大型部品や重量物を扱いやすく、自動化ラインへ組み込める点もメリットです。

導入時は、初期費用や摩耗部品のランニングコストだけでなく、生産性向上、歩留まり改善、人件費削減などの効果を含めて判断しましょう。自社のニーズに合う機種と、導入後も支援を受けられるメーカーを選ぶことが、設備を長期的に活用するためのポイントです。

【部品別】
ショットブラスト機
メーカー3選

ショットブラスト機は、加工部品の素材や形状に適した装置を選ぶことで、処理速度の向上やコスト削減が可能。メーカーごとに得意とする部品のタイプが異なるため、加工する部品に応じた装置選びが欠かせません。ここでは、部品ごとにおすすめのショットブラスト機を扱うメーカーを紹介します。

鋳造・鍛造・製缶・製鋼部品
なら

太洋マシナリー

太洋マシナリーの公式HPキャプチャ
画像引用元:太洋マシナリー公式HP(https://www.omco-taiyo.co.jp/)
大型ワーク・硬質スケール
に応えるカスタム設計

鋳造・鍛造・製缶・製鋼部品の附着砂や錆・スケール落しを目的とし、ワークの形状・材質・処理能力に対応したショットブラスト装置をカスタム対応。
標準機械も取り揃えており、用途に応じたレイアウトとオプション仕様でセミカスタム設計しています。

メンテナンス性・
消耗部品寿命にこだわった機能

高性能セパレーターと最適なライニング材で不純物を除去し、鋳造・鍛造・製缶・製鋼部品の製品表面仕上がり状態を改善し、消耗部品の延命が期待できます。
用途に合わせて消耗部品やキャビネットライニングの材質と取付方法を選定し、メンテナンスを簡素化します。

半導体・電子部品
なら

不二製作所

不二製作所の公式HPキャプチャ
画像引用元:不二製作所公式HP(https://www.fujimfg.co.jp/)
超微粒子技術で
再現性が高い精密処理を実現

1μm以下の超微粒子研磨材を安定して噴射できる装置に、独自の研磨材定量制御技術を搭載することで、低圧での安定噴射を実現
繊細な製品加工の再加工や検査負担を軽減します。

精密生産ラインと
クリーン環境に対応する設計

精密加工向けに多関節ロボット自動化を搭載したショットブラスト機を提供。
クリーンルーム環境での運用にも配慮し、処理精度と清浄性の両立をサポートします。精密生産ラインにも組み込みやすい設計です。

航空機・ロケット部品
なら

Wheelabrator
(ホイール・アブレーター)

Wheelabrator(ホイーラブレイター)の公式HPキャプチャ
画像引用元:Wheelabrator公式HP(https://www.wheelabratorgroup.com/)
トレーサビリティ機能で
厳しい要求仕様に対応

航空機メーカーと共同開発し、航空部品に特化した装置を提供
処理条件や稼働状態をリアルタイムで記録・管理できるトレーサビリティ機能により、航空機・宇宙開発業界の厳格な品質要求に応えます。

機能性向上に直結する
ムラのない処理

疲労強度の向上や応力腐食割れの抑制など、航空機部品で重視される性能改善に特化したショットピーニング装置を開発
CNC制御や多軸ロボットによる精密な噴射制御で、均一なピーニング処理を実現します。