造船部のショットブラストは、船舶長寿命化と安全性を守る上でも欠かせない工程です。
本記事では、造船部品の生産・品質を支えるショットブラストの重要性を解説。大型鋼材の下地処理や防食塗装の密着性を向上させるショットブラスト機の設計ポイントを紹介します。
船舶用の鋼板や形鋼は、製造過程で「ミルスケール」と呼ばれる黒い酸化皮膜や錆びが付着しています。これらを放置すると、塗装の密着性が低下し、早期の剥離や腐食の原因となります。
ショットブラストは、メディアを高速で鋼材に吹き付けることで、ミルスケールを強力に除去。清浄な金属表面を露出させ、表面に微細な粗面を形成します。粗面が塗料の食いつきを良くし、塗装の密着性を向上させ、長期にわたる防錆効果が期待できます。ショットブラストによる下地処理は、船舶の寿命や安全性を確保する上で欠かせません。
造船部品で扱われる鋼板や形鋼は、10メートルを超える長尺かつ幅広の大型ワークが一般的です。そのため、ショットブラスト機には大面積を効率良く、かつ均一に処理できる投射幅と処理能力が求められます。
例えば、ローラーコンベア式ショットブラストは、鋼板や形鋼を搬送しながら連続処理が可能。大型ワークを一度に処理することで、作業時間の短縮と生産コストの削減を図れます。
船舶の鋼材は、厳しい海洋環境にさらされるため、高度な防食塗装が欠かせません。ショットブラストによって表面に微細な粗面性(=表面の凹凸)が形成されることで、塗料がその凹凸に入り込み、強く密着する「アンカー効果」が得られます。
造船部品では、国際海事機関(IMO)が定めるPSPC(船舶内部防食塗装の性能に関する国際規格)※のクリアが求められます。基準を満たすためには、ワークや塗料の種類に応じて、投射材の粒度や投射量、投射速度などを精密に管理できるショットブラスト機が必要です。
造船部品用鋼材は、数十トンに及ぶものも少なくありません。このような重厚長大なワークを安全かつ効率的に処理するためには、ショットブラスト機本体だけでなく、その前後の搬送・固定システムも重要な設計ポイントとなります。
一般的なローラーコンベア式のほか、クレーン式では、ワークを吊り下げて回転させることで、様々な角度からムラなくブラスト処理を行えます。搬送中のワークが安定するよう、堅牢な固定機構や、ラインの自動化により搬送時の揺れや衝突を防ぐ設計も重要です。
造船部品に用いられる鋼材は数十トン規模になることもあり、搬送や固定まで含めた装置選びが重要です。厚板鋼材や大型構造材にはローラーコンベア式が多く採用され、重量物や複雑形状の部材にはクレーン式が選ばれています。
このように、部品の素材や形状によって適した装置は変わるため、導入や入れ替えにあたっては、自社のワークに近い事例を確認することが導入・更新時の判断材料となります。
本サイトでは、加工部品別に適したショットブラスト機メーカーを紹介しているので、合わせてご確認ください。
ミルスケールや錆びの除去、塗膜の密着性を高めるための適切な下地処理は、過酷な海洋環境に耐えうる強固な防食塗装を実現するために欠かせません。重要な工程を支えるショットブラスト機には、長大で重量のある鋼材を効率的に処理するための搬送・固定システム、均一な粗面性を実現するための精密な投射制御、大面積を一度に処理できる能力が重要です。
技術的要件を満たすショットブラスト機は、造船部品メーカーの生産性向上と、船舶の品質維持に大きく貢献します。
ショットブラスト機は、加工部品の素材や形状に適した装置を選ぶことで、処理速度の向上やコスト削減が可能。メーカーごとに得意とする部品のタイプが異なるため、加工する部品に応じた装置選びが欠かせません。ここでは、部品ごとにおすすめのショットブラスト機を扱うメーカーを紹介します。
太洋マシナリー
鋳造・鍛造・製缶・製鋼部品の附着砂や錆・スケール落しを目的とし、ワークの形状・材質・処理能力に対応したショットブラスト装置をカスタム対応。
標準機械も取り揃えており、用途に応じたレイアウトとオプション仕様でセミカスタム設計しています。
高性能セパレーターと最適なライニング材で不純物を除去し、鋳造・鍛造・製缶・製鋼部品の製品表面仕上がり状態を改善し、消耗部品の延命が期待できます。
用途に合わせて消耗部品やキャビネットライニングの材質と取付方法を選定し、メンテナンスを簡素化します。
不二製作所
1μm以下の超微粒子研磨材を安定して噴射できる装置に、独自の研磨材定量制御技術を搭載することで、低圧での安定噴射を実現。
繊細な製品加工の再加工や検査負担を軽減します。
精密加工向けに多関節ロボット自動化を搭載したショットブラスト機を提供。
クリーンルーム環境での運用にも配慮し、処理精度と清浄性の両立をサポートします。精密生産ラインにも組み込みやすい設計です。
Wheelabrator
(ホイール・アブレーター)
航空機メーカーと共同開発し、航空部品に特化した装置を提供。
処理条件や稼働状態をリアルタイムで記録・管理できるトレーサビリティ機能により、航空機・宇宙開発業界の厳格な品質要求に応えます。
疲労強度の向上や応力腐食割れの抑制など、航空機部品で重視される性能改善に特化したショットピーニング装置を開発。
CNC制御や多軸ロボットによる精密な噴射制御で、均一なピーニング処理を実現します。