自動車におけるショットブラスト

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自動車部品の軽量化や高強度化を進めるには、表面処理で部品強度を補強するショットブラストの活用が欠かせません。

本記事では、溶接部の耐食性や疲労強度を高めた事例を紹介するとともに、量産ラインへの導入を前提としたショットブラスト機の設計ポイントについても解説します。

自動車部品における
ショットブラストの役割

自動車部品におけるショットブラストの役割は、鋳造後の砂落としや、鍛造・熱処理後のミルスケール(酸化物)除去溶接後のバリ取りなどが挙げられます。塗装、メッキ、コーティングなどの表面処理の前処理として活用されています。

ショットブラストは表面に微細な凹凸を形成することで、後から塗布される塗料やコーティング剤の密着性を大幅に向上。自動車部品の耐食性を高め、長期にわたり防錆効果を維持しやすくなります。

自動車部品における
ショットブラストの事例

導入前の課題:車体の大型化に
対応できる表面処理・塗装体制が不足

物流業界の「2024年問題」を背景に、国交省が推進する総合物流施策に沿ったダブル連結トラックへの対応が必要となり、連結用トレーラ荷台の生産量が増加しました。加えて、車体大型化への対応も急務となったことから、増産と自動化を見据えた設備導入を決定しました。

設備検討は2018年末から開始し、導入したのは2024年12月。複数の業者と比較検討した中で、大型トレーラ車体に対応できるショットブラストの具体的な解決策を示したのはパーカーエンジニアリング。提案内容の優位性から導入を決定しました。

導入前の課題:車体の大型化に対応できる体制が不足

自動車ショットブラスト事例
画像引用元:パーカーエンジニアリング公式HP
https://www.parker-eng.co.jp/case/nippon_trex/

ショットブラストを含む塗装ライン一式を導入したことで、大型化したトレーラ車体への対応力が向上しました。従来は課題となっていた大断面のワークも安定して処理できるようになり、増産体制の強化につながっています。

また、各工程に自動化を取り入れたことで、塗装工程の効率化と品質安定を実現しました。これにより、生産量の増加とともに作業負担の軽減、外観品質のばらつき低減にも効果を発揮しています。物流需要の変化に柔軟に応えられる、生産基盤の強化が可能となりました。

参照元:パーカーエンジニアリング公式HP(https://www.parker-eng.co.jp/case/nippon_trex/)

自動車部品における
ショットブラスト機の
設計ポイント

生産量と処理目的に応じた
方式の選定

ショットブラスト機を選定する際は、生産量処理目的の2つの観点が重要です。

量産ラインへの連携

大量生産ラインで大量のワークを効率的に処理する場合は、多くのショット材を投射できる遠心力式(ホイールブラスト)が適しています。ロボットアームや自動搬送システムと組み合わせることで、自動化されたラインの一部として機能し、生産性の向上が期待できます。

部品の形状と処理目的

小型で複雑な形状の部品には、圧縮空気を使ってショット材を投射するエア式が適切。目的が塗装の下地処理、溶接部の疲労強度向上、スケール除去のどれであるかによっても、適切なショットブラスト機は異なります。

加工部品に応じた装置選び

自動車部品は種類が多く、ショットブラスト機の選定も部品ごとに異なります。サスペンションスプリングやギアにはショットピーニング、車体フレームにはローラーコンベア式、アルミホイールやエンジン鋳物にはハンガー式や台車式が用いられるケースが多いです。

このように、部品の素材や形状によって適した装置は変わるため、導入や入れ替えにあたっては、自社のワークに近い事例を確認することが導入・更新時の判断材料となります。

本サイトでは、加工部品別に適したショットブラスト機メーカーを紹介しているので、合わせてご確認ください。

軽量化・高強度化材質への対応
(メディア硬度と粒度管理)

近年、自動車部品の軽量化や高強度化のニーズに応えるため、高強度鋼板(ハイテン鋼)やアルミニウム合金などの新しい材質の採用が進んでいます。こうした材質を処理するショットブラスト機には、材質の特性に合わせた対応が求められます。

例えば、ショット材の硬度や粒度を適切に管理することで、材質を傷つけることなく、求められる表面処理を実現します。

高精度かつトレーサビリティ
対応の装置設計

自動車部品の品質管理には、高い精度とトレーサビリティが欠かせません。ショットブラスト機も、これらの要求に対応する設計が求められます。

例えば、処理条件を正確に制御して安定した品質を確保する機能に加え、前後工程の装置とスムーズに連携して、部品情報を確実に引き継ぐシステム設計が重要です。これにより、ショットブラストのような表面処理工程を経ても、部品の情報を追跡できるシステムを構築でき、高い品質管理を実現します。

自動車部品製造におけるショットブラスト活用のポイントまとめ

自動車部品の製造において、ショットブラストは単なる表面処理にとどまらず、製品の品質と性能を向上させる重要な工程です。塗装の密着性向上による耐食性の確保、溶接部の疲労強度向上による耐久性の強化など、自動車部品の安全性や信頼性に直結する役割を担っています。

自動車部品の品質を支えるショットブラスト機は、単一の装置としてではなく、生産ライン全体と連携し、多様な目的と材質に対応できる柔軟性を持つことで、その真価を発揮すると言えるでしょう。

【部品別】
ショットブラスト機
メーカー3選

ショットブラスト機は、加工部品の素材や形状に適した装置を選ぶことで、処理速度の向上やコスト削減が可能。メーカーごとに得意とする部品のタイプが異なるため、加工する部品に応じた装置選びが欠かせません。ここでは、部品ごとにおすすめのショットブラスト機を扱うメーカーを紹介します。

鋳造・鍛造・製缶・製鋼部品
なら

太洋マシナリー

太洋マシナリーの公式HPキャプチャ
画像引用元:太洋マシナリー公式HP(https://www.omco-taiyo.co.jp/)
大型ワーク・硬質スケール
に応えるカスタム設計

鋳造・鍛造・製缶・製鋼部品の附着砂や錆・スケール落しを目的とし、ワークの形状・材質・処理能力に対応したショットブラスト装置をカスタム対応。
標準機械も取り揃えており、用途に応じたレイアウトとオプション仕様でセミカスタム設計しています。

メンテナンス性・
消耗部品寿命にこだわった機能

高性能セパレーターと最適なライニング材で不純物を除去し、鋳造・鍛造・製缶・製鋼部品の製品表面仕上がり状態を改善し、消耗部品の延命が期待できます。
用途に合わせて消耗部品やキャビネットライニングの材質と取付方法を選定し、メンテナンスを簡素化します。

半導体・電子部品
なら

不二製作所

不二製作所の公式HPキャプチャ
画像引用元:不二製作所公式HP(https://www.fujimfg.co.jp/)
超微粒子技術で
再現性が高い精密処理を実現

1μm以下の超微粒子研磨材を安定して噴射できる装置に、独自の研磨材定量制御技術を搭載することで、低圧での安定噴射を実現
繊細な製品加工の再加工や検査負担を軽減します。

精密生産ラインと
クリーン環境に対応する設計

精密加工向けに多関節ロボット自動化を搭載したショットブラスト機を提供。
クリーンルーム環境での運用にも配慮し、処理精度と清浄性の両立をサポートします。精密生産ラインにも組み込みやすい設計です。

航空機・ロケット部品
なら

Wheelabrator
(ホイール・アブレーター)

Wheelabrator(ホイーラブレイター)の公式HPキャプチャ
画像引用元:Wheelabrator公式HP(https://www.wheelabratorgroup.com/)
トレーサビリティ機能で
厳しい要求仕様に対応

航空機メーカーと共同開発し、航空部品に特化した装置を提供
処理条件や稼働状態をリアルタイムで記録・管理できるトレーサビリティ機能により、航空機・宇宙開発業界の厳格な品質要求に応えます。

機能性向上に直結する
ムラのない処理

疲労強度の向上や応力腐食割れの抑制など、航空機部品で重視される性能改善に特化したショットピーニング装置を開発
CNC制御や多軸ロボットによる精密な噴射制御で、均一なピーニング処理を実現します。