大型ショットブラスト機について解説します。導入するメリットや主な用途、選定する際に押さえておきたい点、メーカーを比較する際のポイントなどをまとめています。ショットブラスト機を導入する際の参考にしてください。
大型のショットブラスト機を導入することで、これまで手作業や複数の機器の組み合わせ、あるいは外注に頼っていた表面処理工程を自社で行えるようになります。例えば、手作業でケレン(錆落とし)や塗装前の下地処理を行う場合、品質にムラが生じやすいうえ、作業者への負担も大きくなりがちです。
一方、大型のショットブラスト機を導入すれば、均一な処理が可能になるほか、生産効率の向上も期待できます。また、工程を内製化できるため、外注コストの削減にもつながります。
大型ショットブラスト機は、H鋼や鋼板などの建築資材をはじめ、船舶ブロック、建設機械の大型フレーム、風力発電タワーなど、幅広い用途で使用されています。加工時には、大型のワークを台車などでブラストルーム内へ搬入し、表面処理を行います。
特に、数メートルに及ぶ建機部品の溶接後に発生したスラグの除去や、巨大なH鋼に付着したミルスケール(黒皮)の除去といった、大型ワークへの処理では、その性能を大きく発揮します。
これらの部品には高い強度が求められるため、ショットブラストによって表面に圧縮残留応力を付与することで得られるピーニング効果は、疲労強度の向上にもつながります。
大型のワークの場合、形状や重量によって適した処理方法が異なります。
例えば、自動ライン機(ローラーコンベヤ式)の場合は、H鋼や鋼板などの「長尺・定型ワーク」に適しているとされています。連続的にワークを流しながら、上下左右に配置されたホイールで一気に処理を行える点が特徴です。このタイプは処理速度が速く、大量生産に向く傾向があります。
また、ルームブラスト(手動・半自動式)は、建機のフレームや複雑な構造物のように、ワークに死角が多いケースに適しています。このような場合は、大型ルーム内でノズルや自動昇降機を用いながら、さまざまな方向から投射処理を行います。
ワークが重い場合は、床面の耐荷重や吊り下げクレーンとの連携が重要になります。また、ワーク形状が複雑な場合は、内部などに滞留した投射材をどのように排出するかといった設計も重要なポイントです。
ショットブラスト機を選定する際には、「失敗しないための選定基準」を押さえておくことが大切です。ここでは、機器の選び方と注意点について解説していきますので参考にしてください。
ショットブラストを選定する際には、現在の最大ワーク寸法や重量に合わせるだけではなく、「将来的に受注する可能性が考えられるサイズ」まで見越して検討することが大切です。さらに、「時間あたりの処理目標量」についても考慮することが大切です。処理を行う際に、一度に多くの投射材をワークに投射すればスピーディーに作業は終えられますが、その分電力消費やモーター出力が跳ね上がってしまいます。
以上の点を踏まえ、「1日の生産目標」から逆算して必要な性能を決定していきます。処理能力が不足した機器を導入すると、生産工程のボトルネックになるおそれがあります。一方で、性能が過剰な場合は、導入コストや運用コストの増大につながる可能性があります。
大型機ならではの懸念点としては、広大な設置スペースの確保が必要という点が挙げられます。また大量の粉塵対策として大型集塵機を設置する場所も必要となります。さらに、投射材を回収・循環させるための装置を床下に埋め込む「ピット」を掘るための基礎工事が必要になるケースもありますので、「基礎工事の有無とコスト」についても十分に確認しておくことが必要になります。
このように、単に本体を導入して設置するだけではなく、そのほかにどのような設備や工事が必要になるのかといった点も合わせて検討することが重要です。
コスト面についても十分に検討する必要があり、初期費用だけでなくランニングコストも考慮しなければなりません。ランニングコストを検討する際には、「投射材の消費量」や「ライナー・インペラーの交換頻度」などを確認します。たとえ導入費用が安価であっても、耐摩耗パーツの寿命が短い場合は維持費がかさみ、結果的に総コストが増加する可能性があるため注意が必要です。
また、コスト面を検討する際は、機器導入によって「外注費をどれだけ削減できるか」「人件費をどれだけ圧縮できるか」といった点も重要です。さらに、品質向上によるクレーム削減効果も含めた投資回収シミュレーションを行う必要があります。
ショットブラスト機では、「故障」は避けて通れない課題のひとつです。いわば「自らを削る機械」であるため、機器を選定する際には、日常点検のしやすさや消耗品を交換しやすい構造であるかに加え、トラブル発生時にメーカーの迅速なサポートが受けられるかも重要なポイントとなります。
故障などのトラブルが発生した場合、復旧するまで作業を停止せざるを得ません。そのため、サービスマンが迅速に駆けつけられる体制が整っているかは、ダウンタイム削減の観点から非常に重要です。
機器選定の際には、いくつかのメーカーを比較しますが、その場合には、以下の3点について徹底的にチェックすることが重要です。
大型ショットブラスト機の導入は、工場の生産システムに大きな影響を与えます。そのため、上記で紹介してきた選定基準に加えて、現状の「仕上がりが不安定」「人手が足りない」などの具体的な課題を把握して自社に合ったショットブラスト機を選定する必要があります。
以下の記事では、加工部品別におすすめのショットブラスト機メーカーを紹介しています。さまざまなメーカーを比較できますので、ショットブラスト機を選定する際は、ぜひ以下の記事も参考にしてください。
大型ショットブラスト機を導入することで、これまで対応できなかった大型ワークを扱えるようになり、外注費の削減など、さまざまなメリットが期待できます。導入時には、自社の生産体制やワーク形状に適した機種を選定することが重要です。
初期投資額だけに注目するのではなく、ランニングコストと導入効果のバランスを見ることも重要です。また、カスタマイズに柔軟に対応できるか、トラブル時に迅速なサポートを受けられる体制が整っているかといった点も十分に確認し、自社に適したショットブラスト機を選定してください。
ショットブラスト機は、加工部品の素材や形状に適した装置を選ぶことで、処理速度の向上やコスト削減が可能。メーカーごとに得意とする部品のタイプが異なるため、加工する部品に応じた装置選びが欠かせません。ここでは、部品ごとにおすすめのショットブラスト機を扱うメーカーを紹介します。
太洋マシナリー
鋳造・鍛造・製缶・製鋼部品の附着砂や錆・スケール落しを目的とし、ワークの形状・材質・処理能力に対応したショットブラスト装置をカスタム対応。
標準機械も取り揃えており、用途に応じたレイアウトとオプション仕様でセミカスタム設計しています。
高性能セパレーターと最適なライニング材で不純物を除去し、鋳造・鍛造・製缶・製鋼部品の製品表面仕上がり状態を改善し、消耗部品の延命が期待できます。
用途に合わせて消耗部品やキャビネットライニングの材質と取付方法を選定し、メンテナンスを簡素化します。
不二製作所
1μm以下の超微粒子研磨材を安定して噴射できる装置に、独自の研磨材定量制御技術を搭載することで、低圧での安定噴射を実現。
繊細な製品加工の再加工や検査負担を軽減します。
精密加工向けに多関節ロボット自動化を搭載したショットブラスト機を提供。
クリーンルーム環境での運用にも配慮し、処理精度と清浄性の両立をサポートします。精密生産ラインにも組み込みやすい設計です。
Wheelabrator
(ホイール・アブレーター)
航空機メーカーと共同開発し、航空部品に特化した装置を提供。
処理条件や稼働状態をリアルタイムで記録・管理できるトレーサビリティ機能により、航空機・宇宙開発業界の厳格な品質要求に応えます。
疲労強度の向上や応力腐食割れの抑制など、航空機部品で重視される性能改善に特化したショットピーニング装置を開発。
CNC制御や多軸ロボットによる精密な噴射制御で、均一なピーニング処理を実現します。