エプロン式ショットブラストは、ゴム製ベルトの中でワークを転がしながら研磨剤を投射する装置です。
複雑な形状でもさまざまな角度から加工でき、一度に多くのワークを処理しやすいため、自動車部品をはじめとする金属部品の量産工程で活用されています。
エプロン式は、加工室内のゴム製ベルトでワークを攪拌し、上部から供給した研磨剤を羽車で投射する方式です。ワークを連続的に転がしながら投射することで、さまざまな角度から全体を加工します。
設備上部から研磨剤を供給し、羽車によってワークへ直接投射します。研磨剤を対象製品に衝突させることで、高い研削力を発揮します。
ショットブラスト装置にはさまざまな加工室タイプがあります。エプロン式は、加工室内にゴムシートのコンベアを備えた構造です。
キャタピラ式のゴム製ベルトを回転させると、中のワークが自動で攪拌されます。製品が転がっているところへショットを当てるため、一方向だけでなく全面の加工が可能です。
エプロン式の強みは、処理量だけではありません。ワークを攪拌する仕組みにより、複雑形状への対応やライン自動化にもつなげやすい点が特徴です。
ボルト、ナット、小物部品など、小物・中物のワークをまとめて加工できます。処理能力はメーカーや機種によって異なりますが、1回あたり数十kg〜数百kgを処理できる機種があり、1日あたりの処理数が18,000個を超えるケースもあります。
投射材の無駄打ちを抑えながら一度に大量のワークを処理できるため、生産性を高め、単位あたりのコストを下げる効果も期待できます。
参照元:JICA報告書:https://openjicareport.jica.go.jp/pdf/11125549_06.pdf
エプロンのタンブリングによってワークが自動的に攪拌され、さまざまな角度からまんべんなく投射できます。短時間でもムラを抑えやすく、凹凸が多い複雑な形状や、裏表のあるワークに適しています。
自動投入・排出システムを備えた機種は、既存の生産ラインへ組み込むことで作業負荷の軽減や省人化につなげられます。自動投入・搬出装置がオプション扱いの機種もあるため、標準仕様かどうかを確認しましょう。
エプロン式には、ワークを転がして処理するからこその注意点があります。品質トラブルや想定外の保全負担を避けるため、次の3点を導入前に確認してください。
エプロン式と形状が似た方式として、ドラム式が候補になることがあります。どちらもワークを攪拌しながら投射しますが、攪拌方法、得意なワーク、メンテナンス性に違いがあります。
| 比較項目 | エプロン式 | ドラム式 |
|---|---|---|
| 攪拌方法 | ゴム製のキャタピラ式エプロンが回転・駆動し、ワークを連続的に転がす | ドラムそのものが回転し、ワーク同士の接触も利用して攪拌する |
| 向いているワーク | 小型〜中型まで幅広いワークに対応しやすい | 小型部品の処理に向いている |
| 処理の特徴 | 多彩なワークを一度に処理しやすい | 均一な表面処理を得意とする |
| メンテナンス | 比較的シンプルな構造で、メンテナンスしやすい傾向 | 内部の摩耗に備え、定期的な点検・交換が必要 |
小型〜中型の多様なワークをまとめて処理したい場合はエプロン式、小型部品の均一処理を重視する場合はドラム式が候補になります。ただし、どちらも内部が摩耗するため、定期点検と消耗部品の交換を前提に比較してください。
カタログ上の処理能力だけで決めず、「何を、どれだけ、どの環境で処理するか」を順に確認すると、候補を絞り込みやすくなります。
さび落とし、表面粗し、バリ取り、スケール除去、付着物除去、ピーニングなど、自社の目的・用途と装置の仕様が合致しているかを確認します。
装置が処理できるワークサイズと重量に加え、攪拌時にワーク同士が接触することを踏まえて選びます。1回に投入できる重量と処理能力も確認しましょう。機械要素部品、バネ、ボルト、鍛造品、工具、熱処理品など、対象製品が機種の対応範囲に含まれるかも確認が必要です。
必要な電圧や周波数、付帯設備を確認し、設置可能かを判断します。装置本体の寸法だけでなく、搬入経路とメンテナンス作業に必要なスペースも確保してください。消耗部品の交換頻度やアフターサービスまで確認しておくと安心です。
導入費用は、本体価格だけでは判断できません。据付・基礎・電気・配管などの初期費用と、投射材や消耗部品を含む運用費を分けて見積もることが重要です。
エプロン式ショットブラストは、ゴム製ベルトでワークを攪拌しながら研磨剤を投射するため、凹凸の多い複雑な部品でも全面を均一に加工しやすい方式です。小物から中物まで対応でき、一度に大量処理できる一方で、ワークの打痕・傷・変形には注意が必要です。
処理能力や装置サイズだけでなく、目的、製品、設置環境、総コストが自社条件に合うかを確認しましょう。
本体価格だけでなく、搬入・設置費用やランニングコストも含めて計算し、打痕などの品質リスクと必要な処理能力の両面から機種を比較することが大切です。
ショットブラスト機は、加工部品の素材や形状に適した装置を選ぶことで、処理速度の向上やコスト削減が可能。メーカーごとに得意とする部品のタイプが異なるため、加工する部品に応じた装置選びが欠かせません。ここでは、部品ごとにおすすめのショットブラスト機を扱うメーカーを紹介します。
太洋マシナリー
鋳造・鍛造・製缶・製鋼部品の附着砂や錆・スケール落しを目的とし、ワークの形状・材質・処理能力に対応したショットブラスト装置をカスタム対応。
標準機械も取り揃えており、用途に応じたレイアウトとオプション仕様でセミカスタム設計しています。
高性能セパレーターと最適なライニング材で不純物を除去し、鋳造・鍛造・製缶・製鋼部品の製品表面仕上がり状態を改善し、消耗部品の延命が期待できます。
用途に合わせて消耗部品やキャビネットライニングの材質と取付方法を選定し、メンテナンスを簡素化します。
不二製作所
1μm以下の超微粒子研磨材を安定して噴射できる装置に、独自の研磨材定量制御技術を搭載することで、低圧での安定噴射を実現。
繊細な製品加工の再加工や検査負担を軽減します。
精密加工向けに多関節ロボット自動化を搭載したショットブラスト機を提供。
クリーンルーム環境での運用にも配慮し、処理精度と清浄性の両立をサポートします。精密生産ラインにも組み込みやすい設計です。
Wheelabrator
(ホイール・アブレーター)
航空機メーカーと共同開発し、航空部品に特化した装置を提供。
処理条件や稼働状態をリアルタイムで記録・管理できるトレーサビリティ機能により、航空機・宇宙開発業界の厳格な品質要求に応えます。
疲労強度の向上や応力腐食割れの抑制など、航空機部品で重視される性能改善に特化したショットピーニング装置を開発。
CNC制御や多軸ロボットによる精密な噴射制御で、均一なピーニング処理を実現します。