この記事では、エプロン式ショットブラストの概要だけでなく、メリットやデメリット、選び方のポイントなどをまとめました。
ベルトコンベア状のエプロンでワークを投入して全体を加工するエプロン式ショットブラスト機は、均一に研磨できるためムラなく仕上げることができる特徴があります。また、一度に多くのワークを加工できる、さまざまなサイズに対応できるため、大量生産される製品の表面処理に適しています。自動車部品をはじめ金属部品全般に活用されています。
研磨剤を投射(ショット)するブラスト装置であり、直接研磨剤を対象製品に衝突されることで高い研削力を発揮します。設備上部から研磨剤を供給し、羽車によって研磨剤が投射されます。
ショットブラスト装置には様々な加工室タイプがあり、エプロン式ショットブラストは加工室内にゴムシートのコンベアを備えたものです。
エプロン式ショットブラストは、キャタピラ式のゴム製ベルトであるエプロンを回転させ、中にワークを投入して自動で攪拌しながらショットブラスト加工を行います。製品が転がっているところにショットを当てるため、様々な角度から全体の加工が可能です。
エプロン式は多くの現場で用いられているのは、様々なメリットがあるためです。ここでは、エプロン式の代表的なメリットを3つ紹介します。
ボルト、ナット、小物部品など小物・中物のワークを大量に加工することができます。処理能力はメーカーや機種によって異なりますが、1回あたり数十kg~数百kg処理できるようになっており、1日あたりの処理数が18,000個を超えるケースもあります。
投射材の無駄打ちが少なく一度に大量のワークを処理できるため生産性が高く、単位当たりのコストパフォーマンスが良いためコストダウン効果も期待できます。
エプロンのタンブリングにより自動的に攪拌され様々な角度からまんべんなく投射できるため、短時間でもムラなく仕上げることができます。凸凹が多い複雑な形状のワークや裏表のあるものに適しています。
自動投入・排出システムのあるエプロン式ショットブラストは既存の生産ラインに組み込むことで作業負荷軽減、省人化を実現することができます。機種の中には自動投入・搬出装置がオプションとなっていることもあるので確認しましょう。
様々なメリットがあるエプロン式ショットブラストですが、知っておかなければいけないデメリットもあります。導入後にトラブルが起こらないよう、2つのデメリットについて紹介するので、導入前の参考にしてください。
ワークがタンブリングによって攪拌する際に製品同士がぶつかり合うことになります。そのため、ワークに打痕やゆがみ、変形が生じる恐れがあります。傷つけてはいけない素材、薄い素材や繊細な部品は注意が必要です。また、ワークがすき間に噛みこんでしまい変形することもあります。
また、エプロン式ショットブラストは仕上がりにムラができにくいメリットがありますが、投射時間が短いとムラが生じることもあります。
強い研磨剤を使うとワークの加工だけでなく処理室内も研磨剤により摩耗することがあります。配管相、投射口は摩耗が早いためメンテナンスが必要です。
ブラスト処理によって塗装や酸化被膜、さびが取り除かれると、空気中の水分によってさびやすくなってしまいます。さびを抑えるために、加工後に速やかに対策を行うことが重要です。
エプロン式と形状が似ているショットブラストとして「ドラム式」が候補になることがあります。こちらでは、ドラム式とエプロン式の違いについて解説します。
エプロン式とドラム式の違いは、攪拌方法にあります。エプロン式はゴム製のキャタピラ式エプロンにワークを投入し、エプロンベルトが回転・駆動することでワークが連続的に転がって様々な角度から投射することができるものです。
一方、ドラム式はドラムが回転して自動攪拌を行い、投射を行うものです。ドラムそのものの回転に加え、ワーク同士が接触することでも攪拌。様々な角度からの投射を可能としています。
エプロン式は小型~中型まで幅広いワークに対応可能ですが、ドラム式は小型部品に向いています。また、ドラム式は均一な表面処理が得意で、エプロン式は多彩なワークを一度に処理できるため加工するワークの種類によって選択が異なるでしょう。
エプロン式、ドラム式どちらも内部が摩耗する恐れがあるため定期的な点検や交換が必要です。エプロン式の方がシンプルな構造となっておりメンテナンスしやすい傾向となっています。
処理目的にはさび落としや表面粗し、バリ取り、スケール除去、付着物除去、ピーニングなどがありますので、導入を検討しているエプロン式ショットブラスト機が自社の目的・用途と合致しているかどうかを確認します。
装置が処理できるワークサイズや重量も確認ポイントです。ワーク同士が攪拌によって接触することを考えてサイズを選ぶことが大切です。一度に投入できるワーク重量、処理能力についても確認しておきましょう。
対象となる処理製品も、機種によって異なることがあります。機械要素部品、バネ、ボルト、鍛造品、工具、熱処理品など、自社の製品と合致するかどうか確認します。
設置するにあたり必要となる電源や付帯設備の確認も大切です。電圧や周波数などを確認し、設置可能かどうか判断します。
合わせて、装置本体のサイズ・設置スペースやメンテナンスで必要となる広さについても確認しておきましょう。メンテナンスについては消耗部品の交換頻度やアフターサービスについても確認しておくと安心です。
エプロン式ショットブラストを導入する際の費用はメーカーや仕様によって異なります。ここでは、導入する際にどのような費用が発生するのか、その内訳や相場感について紹介します。
新品のエプロン式ショットブラストを導入する場合、数百万円から1千万円程度が目安となってきます。小型のものであれば数十万程度で購入できる場合もありますが、生産能力やサイズが大きくなれば価格も高くなる傾向にあります。また、国内メーカーか海外メーカーかによっても価格が違ってきます。
エプロン式ショットブラストを導入するときには、本体価格以外にもかかる費用を把握しておかなければいけません。主な費用としては、機器の搬入や設置・組み立てにかかる据付工事費、設備を設置するための基礎工事費、電気設備工事や配管工事などのユーティリティ工事費用があります。更に、運搬する際の費用がかかることもあり、これらの費用は各メーカーに問い合わせて確認する必要があります。
エプロン式ショットブラストのランニングコストには、駆動に必要な電気代だけでなく投射材やブレードなどの消耗品費用、メンテナンス費用などがあります。消耗品の消費量を削減するための工夫がされている機種もあるため、確認しておくと良いでしょう。
また、メンテナンス費用を抑えるのであれば、定期的な点検で大きな不具合が起こるのを防ぐことが大切です。
エプロン式ショットブラストはゴム製ベルトでワークを攪拌しながら研磨剤を投射するため、凸凹の多い複雑な部品でも均一な加工ができることが特徴です。小物から中物まで対応でき、大量に一度の加工ができるメリットがある一方で、ワークに打痕ができたり傷がついたりする恐れもあるため注意が必要です。
導入する際には処理能力やサイズ感を確認するだけでなく、目的・製品が自社に合っているかどうかを考えて選ぶことが大切です。本体価格だけでなく搬入・設置費用やランニングコストもかかるため、様々な視点から必要となるコストを計算するようにしましょう。
ショットブラスト機は、加工部品の素材や形状に適した装置を選ぶことで、処理速度の向上やコスト削減が可能。メーカーごとに得意とする部品のタイプが異なるため、加工する部品に応じた装置選びが欠かせません。ここでは、部品ごとにおすすめのショットブラスト機を扱うメーカーを紹介します。
太洋マシナリー
鋳造・鍛造・製缶・製鋼部品の附着砂や錆・スケール落しを目的とし、ワークの形状・材質・処理能力に対応したショットブラスト装置をカスタム対応。
標準機械も取り揃えており、用途に応じたレイアウトとオプション仕様でセミカスタム設計しています。
高性能セパレーターと最適なライニング材で不純物を除去し、鋳造・鍛造・製缶・製鋼部品の製品表面仕上がり状態を改善し、消耗部品の延命が期待できます。
用途に合わせて消耗部品やキャビネットライニングの材質と取付方法を選定し、メンテナンスを簡素化します。
不二製作所
1μm以下の超微粒子研磨材を安定して噴射できる装置に、独自の研磨材定量制御技術を搭載することで、低圧での安定噴射を実現。
繊細な製品加工の再加工や検査負担を軽減します。
精密加工向けに多関節ロボット自動化を搭載したショットブラスト機を提供。
クリーンルーム環境での運用にも配慮し、処理精度と清浄性の両立をサポートします。精密生産ラインにも組み込みやすい設計です。
Wheelabrator
(ホイール・アブレーター)
航空機メーカーと共同開発し、航空部品に特化した装置を提供。
処理条件や稼働状態をリアルタイムで記録・管理できるトレーサビリティ機能により、航空機・宇宙開発業界の厳格な品質要求に応えます。
疲労強度の向上や応力腐食割れの抑制など、航空機部品で重視される性能改善に特化したショットピーニング装置を開発。
CNC制御や多軸ロボットによる精密な噴射制御で、均一なピーニング処理を実現します。