ショットブラストの仕上がりや処理効率は、使用するメディアによって大きく左右されます。材質・形状・サイズの違いで表面の粗さや光沢、塗装の密着性、さらには処理コストまで変化するため、ワークや目的に合った選定が欠かせません。
本ページでは、代表的なメディアの特徴と選び方のポイントを解説します。
ショットブラスト機では、小さな玉を高速でワークに打ち付けて、錆び落とし、バリ取り、表面仕上げなどを行うのが一般的。この小さな玉がメディア(投射材)です。
同じ材質のワークを処理する場合でも、メディアの材質・形状・粒の大きさなどによって、処理したワークの表面粗さ、光沢、塗装の密着度などが変わります。処理スピードやメディアの消耗コストにも影響するため、ワークや目的に合った選び方を把握しておきましょう。
ワークの材質に応じて、メディアの材質を決めるのが基本です。ワークの材質によって、メディアの硬さ・耐摩耗性・反応性は大きく異なります。
例えば、硬度の高い材質には高硬度のメディアを使う、やわらかい材質にはダメージを避けるために低硬度のメディアを使うなど、バランスが求められます。
鉄鋼系の金属メディアで、高い衝撃力と耐久性を持つのが特徴です。高い衝撃力を活かしたスケール除去や、塗装・溶接前の下地処理など、強力な加工が必要な場面で広く使用されます。
コストパフォーマンスも高く、繰り返し使用できるため、大量処理や重工業の現場向き。特に鋳物や鍛造品、大型構造物の加工に適しています。
鉄を主成分としながらも、耐食性に優れている非腐食性メディアです。スチールよりも錆びにくいため、非鉄金属(アルミ・真鍮など)やステンレス製品の処理に適しています。
主な用途は酸化膜の除去や表面の均一化です。ワークに鉄粉を残さず酸化を防げるため、異種金属のコンタミ(異物混入)を避けたい精密加工や医療機器の処理にも活用されます。
酸化アルミニウムを主成分とするセラミック系メディアで、非常に高い硬度を持つのが特徴です。スチールよりも研削力が高いため、頑固なスケールや汚れの除去、粗面加工(表面をざらつかせる処理)などの用途に適しています。
アルミやステンレスなどの非鉄金属にも使用可能。塗装や溶射の密着性を高める下地処理にも活用されます。使い捨てタイプと再利用可能なタイプがあり、使用環境やコスト条件に応じて選択可能です。
ソーダガラスを主原料とした球状のメディアで、ワークに優しく当たるのが特徴です。ワークを削るのではなく、「表面を整える・つやを出す」ことに向いており、光沢仕上げや微細バリの除去、非鉄金属のショットピーニング処理(疲労強度向上)などに使われます。
ガラスビーズが適しているのは、表面を滑らかに仕上げたいアルミ製品や精密機器の処理。加工後の見た目や機能性を重視する工程に多く導入されています。
アクリルやポリカーボネートなどの樹脂を原料とした低硬度のメディアです。金属メディアに比べてワークに与える衝撃が少なく、デリケートな材質のワーク、電子部品などのクリーニング・塗装剥離に適しています。
ただし、消耗性が高く、ランニングコストがかかる点がネックです。
メディア形状の違いは、ワークの当たり方や加工痕に直結します。
比較的マイルドな当たり方をするので、表面を滑らかに整えられるのが特徴です。
また、ワークの疲労強度を高める「ショットピーニング処理」にも適しています。球状メディアは均一な力でワークの表面を叩くため、部品を破壊から守る「圧縮残留応力」という保護層をムラなく効果的に作り出せるのです。
エッジのある不規則な形をしており、ワーク表面への食いつきが良いため、鋭いエッジで素早く塗膜を除去するのに向いています。短時間で強い加工効果が得られる一方、ワークへの負荷が大きいため、変形しやすい薄物や軟質材のワークには向いていません。
粒のサイズは、処理にかかる時間や加工後の表面粗さに直結します。
ワーク表面に対してインパクトが強いため、一度の衝突で除去できる量が多いのが特徴です。重度のスケール除去や硬い材料の表面処理に適しています。塗装や溶射の密着性を高めるため、あえて粗く仕上げたい場合にも使用されます。
細部まで入り込めない場合があるため、精密部品の表面処理には向いていません。
表面を均一かつ滑らかに仕上げたいときや、寸法精度が求められる精密部品の表面処理に適しています。小さな凹凸や複雑形状の内部にも入りやすいため、全体をムラなく加工することが可能です。
ただし、ワーク表面に対して与えるインパクトが弱く、何度も当てる必要があります。処理に時間がかかるため、硬質ワークの重厚なスケール除去や、生産性を重視する大量のバリ取りなどには向きません。
材質・形状・サイズによって、メディアの性質や適している用途は変わってきます。処理品質や生産コストを高めるためには、自社の業界特性やワークの材質を踏まえつつ、目的に応じたメディアを選定することが大切です。
当メディアでは、ワークの種類ごとにおすすめのショットブラスト機取り扱いメーカーを紹介しています。採用しているメディアの種類にも注目しながら、3社の違いを確認してみてください。
ショットブラスト機は、加工部品の素材や形状に適した装置を選ぶことで、処理速度の向上やコスト削減が可能。メーカーごとに得意とする部品のタイプが異なるため、加工する部品に応じた装置選びが欠かせません。ここでは、部品ごとにおすすめのショットブラスト機を扱うメーカーを紹介します。
太洋マシナリー
鋳造・鍛造・製缶・製鋼部品の附着砂や錆・スケール落しを目的とし、ワークの形状・材質・処理能力に対応したショットブラスト装置をカスタム対応。
標準機械も取り揃えており、用途に応じたレイアウトとオプション仕様でセミカスタム設計しています。
高性能セパレーターと最適なライニング材で不純物を除去し、鋳造・鍛造・製缶・製鋼部品の製品表面仕上がり状態を改善し、消耗部品の延命が期待できます。
用途に合わせて消耗部品やキャビネットライニングの材質と取付方法を選定し、メンテナンスを簡素化します。
不二製作所
1μm以下の超微粒子研磨材を安定して噴射できる装置に、独自の研磨材定量制御技術を搭載することで、低圧での安定噴射を実現。
繊細な製品加工の再加工や検査負担を軽減します。
精密加工向けに多関節ロボット自動化を搭載したショットブラスト機を提供。
クリーンルーム環境での運用にも配慮し、処理精度と清浄性の両立をサポートします。精密生産ラインにも組み込みやすい設計です。
Wheelabrator
(ホイール・アブレーター)
航空機メーカーと共同開発し、航空部品に特化した装置を提供。
処理条件や稼働状態をリアルタイムで記録・管理できるトレーサビリティ機能により、航空機・宇宙開発業界の厳格な品質要求に応えます。
疲労強度の向上や応力腐食割れの抑制など、航空機部品で重視される性能改善に特化したショットピーニング装置を開発。
CNC制御や多軸ロボットによる精密な噴射制御で、均一なピーニング処理を実現します。