ショットブラスト装置は、同じ「ブラスト処理」でも、ワークの搬送方法(入れる/吊るす/載せる/流す)によって得意分野が大きく変わります。装置形式を誤ると、処理ムラ・打痕・段取り増・能力不足につながりやすいため、まずは「ワークの形状・強度」「生産方式(バッチか連続か)」「求める品質(均一性、打痕許容、処理後工程)」の3点を軸に選ぶのが近道です。
タンブラー式は、小物部品をまとめて投入し、ワーク同士を攪拌(タンブリング)させながら投射する方式です。ワークが常に動くため、比較的均一な当たりを得やすく、量産の小物処理で効率が出やすい形式です。
ハンガー式は、治具にワークを吊り下げて処理する方式です。ワーク同士が接触しないため、打痕や変形リスクを抑えやすく、形状が原因でタンブラーに通せない部品にも対応しやすいのが特徴です。
テーブル式は、ワークをテーブル上に載せ、回転(またはスイング)させながら投射する方式です。ワークを安定保持しつつ、回転で当たりを均一化しやすいため、「ある程度の大きさがある単品〜中量」や「載せて処理したい形状」に適します。
ローラーコンベア式は、ワークをローラーで搬送しながら連続処理する方式です。鋼板・形鋼・パイプ・構造物など、長尺物や平板をラインで流したい場合に強く、上下面同時処理などで生産性を高めやすいのが特徴です。
小物を連続で流す用途では、メッシュベルトなどの「ベルト搬送型」も選択肢になります。ベルト上で搬送しながら処理でき、タンブラーより接触を抑えやすい場合があります(ただし形状・投入量次第では部品同士の接触は起こり得ます)。
| 形式 | 得意なワーク | 生産方式 | 品質面の強み | 主な注意点 |
|---|---|---|---|---|
| タンブラー式 | 小物量産、丈夫な部品 | バッチ中心(連続タイプもあり) | 攪拌で当たりが出やすい | 接触による打痕・絡み |
| ハンガー式 | 打痕NG、複雑形状、吊り可能品 | バッチ〜ライン化 | 非接触に近く品質安定 | 治具設計・段取り時間 |
| テーブル式 | 載置できる小〜中物、単品〜中量 | バッチ | 回転で均一化しやすい | 裏面・接触面の処理 |
| ローラーコンベア式 | 鋼板・形鋼・パイプ・構造物など長尺 | 連続(ライン連動) | 一定条件で再現性が高い | 接触面・搬送安定性 |
| ベルトコンベア式 | 小物を連続で流したい、保持したい | 連続 | 保持しながら処理できる | ベルト目詰まり、保持姿勢 |
ワーク同士の接触が許容できるかを決める
バッチか連続かを決める
ワークの「姿勢制御」が必要かを決める
投入・取出し方法を現場に合わせる
小物量産でスピード重視ならタンブラー式、接触ダメージを避けて品質重視ならハンガー式、載置して回転で均一化したいならテーブル式、長尺物や鋼板をラインで流して安定品質を作りたいならローラーコンベア式が基本の考え方です。ワーク条件と生産方式を先に固め、処理テストで「最も厳しい部位」の仕上がりと打痕リスクを確認したうえで、最適形式へ絞り込むと失敗しにくくなります。
ショットブラスト機は、加工部品の素材や形状に適した装置を選ぶことで、処理速度の向上やコスト削減が可能。メーカーごとに得意とする部品のタイプが異なるため、加工する部品に応じた装置選びが欠かせません。ここでは、部品ごとにおすすめのショットブラスト機を扱うメーカーを紹介します。
太洋マシナリー
鋳造・鍛造・製缶・製鋼部品の附着砂や錆・スケール落しを目的とし、ワークの形状・材質・処理能力に対応したショットブラスト装置をカスタム対応。
標準機械も取り揃えており、用途に応じたレイアウトとオプション仕様でセミカスタム設計しています。
高性能セパレーターと最適なライニング材で不純物を除去し、鋳造・鍛造・製缶・製鋼部品の製品表面仕上がり状態を改善し、消耗部品の延命が期待できます。
用途に合わせて消耗部品やキャビネットライニングの材質と取付方法を選定し、メンテナンスを簡素化します。
不二製作所
1μm以下の超微粒子研磨材を安定して噴射できる装置に、独自の研磨材定量制御技術を搭載することで、低圧での安定噴射を実現。
繊細な製品加工の再加工や検査負担を軽減します。
精密加工向けに多関節ロボット自動化を搭載したショットブラスト機を提供。
クリーンルーム環境での運用にも配慮し、処理精度と清浄性の両立をサポートします。精密生産ラインにも組み込みやすい設計です。
Wheelabrator
(ホイール・アブレーター)
航空機メーカーと共同開発し、航空部品に特化した装置を提供。
処理条件や稼働状態をリアルタイムで記録・管理できるトレーサビリティ機能により、航空機・宇宙開発業界の厳格な品質要求に応えます。
疲労強度の向上や応力腐食割れの抑制など、航空機部品で重視される性能改善に特化したショットピーニング装置を開発。
CNC制御や多軸ロボットによる精密な噴射制御で、均一なピーニング処理を実現します。