不二製作所は、圧縮空気で研磨材を噴射するエアーブラスト(サンドブラスト)装置「ニューマ・ブラスター」を開発・製造するメーカーです。ノズルの動きや噴射条件を調整しやすく、手動機からロボット搭載機、微細加工用装置、大型ブラストルームまで展開しています。
なお、公式の「ブラスト装置の基礎知識」では、遠心力で研磨材を投射するインペラ式の「ショットブラスト装置」は取り扱っていないと案内されています。ショットピーニングに対応する装置はありますが、「ショットブラスト機メーカー」として比較する際は方式の違いに注意が必要です。
エアーブラストとショットブラストは、どちらも研磨材をワークへ衝突させる表面処理ですが、研磨材を加速させる方法が異なります。不二製作所が扱うエアーブラストは、圧縮空気とノズルを使用する方式です。一方、一般にショットブラストと呼ばれる装置は、モーターで回転する羽根車の遠心力を利用します。
| 比較項目 | 不二製作所のエアーブラスト | 一般的なショットブラスト |
|---|---|---|
| 研磨材の加速方法 | 圧縮空気を利用し、ノズルから噴射 | インペラの遠心力で投射 |
| 処理位置の調整 | ノズルの向き・距離・動きを設定しやすく、限定部位や複雑形状にも対応しやすい | 広い範囲への大量投射に向く |
| 研磨材 | 粒径・材質とも選択肢が広い | スチールなど比重の大きい研磨材を大量投射しやすい |
| 主な選定場面 | 噴射条件を細かく調整したい、複雑形状や微細加工に対応したい場合 | 大面積を短時間で処理したい場合 |
| 不二製作所での取り扱い | あり | なし(公式サイトで明記) |
名称だけで選ぶと、必要な処理能力や設備条件とのずれが生じます。大面積の高速処理を重視するのか、研磨材や噴射位置の調整幅を重視するのかを先に整理すると、方式を比較しやすくなります。
不二製作所は、手動機、回転テーブル式、コンベア式、台車式、ロボット式などを用意しています。公式サイトによると、納入装置の90%以上がカスタマイズ装置です。ワークの材質・形状だけでなく、処理量、前後工程、搬送方法、求める仕上がりまで含めて設計を検討できる点が特徴です。
導入前には、来社立ち会いまたはサンプルワークの郵送によるテスト加工にも対応。装置名を先に決めるより、テスト結果から研磨材・噴射条件・処理速度を固め、必要な自動化範囲を決める進め方が現実的です。
同社は装置製造に加え、研磨材の販売、テスト加工、試作・量産の受託加工、装置レンタルを提供しています。加工条件が固まっていない段階では受託加工で品質と工数を確認し、内製化の見通しが立ってから装置導入へ移る、といった段階的な検討も可能です。
同じメーカーの装置でも、向いているワークと生産方法は異なります。以下は、公式サイトの製品分類を基にした選定の目安です。実際の対応寸法・重量・処理能力は、個別仕様によって変わるため確認が必要です。
| 装置タイプ・シリーズ | 処理方法 | 向いているワーク・生産 | 選定時に確認したいこと |
|---|---|---|---|
| RB ロボット搭載 | ロボットがノズルを三次元制御 | 複雑形状、穴内部、限定部位、少量多品種 | ティーチング数、ノズル持ち替え、着脱自動化 |
| GT 間欠回転テーブル | 親子テーブルを間欠回転させて1個ずつ処理 | 小~中型品の1個流し・連続量産 | 品種、投入・取り出し方法、処理タクト |
| ATCM 自動回転テーブル | テーブル上の単品・複数品をバッチ処理 | 小~中型品の自動処理、手動との併用 | テーブル径、耐荷重、手動ノズル追加の要否 |
| DT・RBT 自動台車テーブル | 台車で重量物を搬入し自動処理 | 大型・重量物、処理時間が長いワーク | 扉開口、台車寸法・耐荷重、手動併用の要否 |
| B・BAR コンベア | 搬送しながら連続処理 | 板物、長尺物、量産ライン | 片面・両面、搬送速度、前後工程との接続 |
| LD バレルカゴ | カゴ内でワークを転動させるバッチ処理 | 軽量な小物を短時間でまとめて処理 | ワーク同士の接触可否、1バッチ量 |
| BL エンドレスベルト | ベルト上でワークを転動させるバッチ処理 | 小~中型品の量産、LDより重量のあるワーク | 処理容量、打痕・変形リスク |
| SG・FD・SF 手動機 | 作業者がノズルを操作 | 多品種少量、試作、部分処理 | 必要な加工力、連続運転時間、設置面積 |
| LF 大型ブラストルーム | 作業者が室内で大型品を処理 | 建機、構造物などキャビネットに入らない大型品 | 建屋、集塵、搬入経路、安全・法令対応 |
| BO・YK・DK・APR 専用機 | ワーク形状に合わせた搬送・回転 | 線材、フープ材、コイル材、ロール材 | 径・長さ、連続処理かバッチ処理か |
SCD・HCH ナノ・ブラスターは、超微粉研磨材の噴射量を制御し、ナノレベルの表面粗さコントロールや、数十µm単位のエンボス・穴あけ加工を行う装置です。高精度サイクロン分級と異物除去システムを組み合わせ、破砕した研磨材や切削カスを除きながら研磨材の状態を管理します。
公式サイトには、プリプレグ基板、ウエハー、プリント基板、静電チャック用基板、セラミック基板の装置実績が掲載されています。ただし、「12インチ基板を6枚同時加工」は一つの実績例であり、シリーズ共通の最大ワーク寸法を示す数値ではありません。別の実績には最大幅3,200mmの大型セラミック基板用装置もあるため、対応寸法は対象装置ごとに確認が必要です。
| 装置構造タイプ | 用途に応じた連続処理・ロボット・バッチ処理 |
|---|---|
| 主な処理対象 | プリプレグ基板、ウエハー、プリント基板、静電チャック用基板、セラミック基板など |
| 主な加工 | 微細粗面化、エンボス加工、穴あけ、キャビティ加工、スクライビングなど |
| 使用研磨材 | 数µmから1µm以下の粒子径を使い分け。最小研磨材は10000番と公式掲載 |
| 最大対応ワーク寸法 | シリーズ共通仕様は要問い合わせ 実績例:12インチ静電チャック用基板6枚同時加工、大型セラミック基板は最大幅3,200mm |
| 本体寸法・最大ワーク重量 | 要問い合わせ |
RBは、垂直多関節ロボットにノズルを持たせ、事前に設定した動きを再現する装置です。通常の噴射では届きにくい穴内部や入り組んだ箇所、研磨材を当てたくない部位があるワークなど、噴射位置と軌跡を管理したい処理に向いています。ローダー・アンローダーと組み合わせれば、ワーク着脱を含む自動化も検討できます。
公式の企業データでは、ロボット搭載装置の累計出荷台数は400台以上です。標準モデルは、天井設置ロボットと回転テーブルを組み合わせ、角400mmの平面加工と高さ350mmの円筒加工の動きがあらかじめ設定されています。大型仕様は個別設計で、公式掲載のW2,200×L3,000×H1,000mm・耐荷重2,800kgは受託加工設備の実績例です。RBシリーズ全機種の一律上限ではありません。
| 装置構造タイプ | 垂直多関節ロボット。回転テーブルや搬送装置との組み合わせに対応 |
|---|---|
| 主な処理対象 | 複雑形状品、穴・内面、限定部位、大型鋳造品、航空機部品など |
| 標準モデルの加工動作 | 平面加工:角400mm 円筒加工:高さ350mm |
| 大型装置の実績例 | W2,200×L3,000×H1,000mm、耐荷重2,800kg ※標準仕様やシリーズ共通上限ではなく個別実績 |
| 本体寸法 | 要問い合わせ |
B・BARは、コンベアでワークを搬送しながら連続処理する装置です。公式サイトには、複数ノズルを備えたチェーンコンベア式、薄板を上下のローラーで挟んで両面処理するブロワブラスト式、板状ワークを立てて左右から処理する装置などの実績があります。
量産ラインへ組み込む場合は、単に対応幅を見るだけでなく、搬送姿勢、片面・両面、処理速度、研磨材残り、前後設備との受け渡しを確認する必要があります。板状ワークでも一律の標準仕様ではないため、ライン条件を提示して相談する装置です。
手動装置は、同じキャビネット型でも研磨材の送り方が異なります。多品種少量や試作に使いやすい一方、必要な加工力と連続運転時間を確認せずに選ぶと、処理時間や設備負荷が想定と合わないことがあります。
| 方式 | 仕組み | 選定の目安 |
|---|---|---|
| SG 重力式 | 自然落下と負圧による吸引で研磨材を噴射 | 長時間の連続運転や生産用途を重視 |
| FD 直圧式 | 加圧タンクから研磨材を強制的に送る | SG・SFより高い加工能力が必要 |
| SF サイホン式(吸引式) | キャビネット下部の研磨材を負圧で吸い上げる | シンプルな構造と省スペース性を重視 |
処理速度は、方式だけでなく研磨材、粒度、ノズル径、圧力、ワーク材質によって変わります。「直圧式なら必ず何倍速い」とは決めず、候補条件でテストするのが確実です。
不二製作所は、ブラストを用いた複数の表面処理技術を展開しています。ただし、名称だけで「強度が上がる処理」とまとめず、対象材、改善したい性能、評価方法を分けて検討する必要があります。
| 技術 | 公式サイトで示されている目的 | 検討時に確認したいこと |
|---|---|---|
| α処理® | 表層のナノ結晶化強化とマイクロテクスチャ形成による強度・靭性・摺動性の改善 | 対象材・熱処理・コーティングの有無、許容寸法変化、耐久評価方法 |
| WPC処理® | 微粒子ピーニングによる耐摩耗性、疲労強度、摺動性などの改善 | 必要な圧縮残留応力、表面硬度・粗さ、疲労試験条件 |
| gemini処理® | 多工程ブラストによる表面状態の改善、粉体滑落性や水切れの改善 | 付着する粉体・液体、傾斜角度、洗浄条件、効果判定方法 |
これらの効果は、材質、形状、処理条件、使用環境によって変わります。公式サイトの個別事例を自社ワークへそのまま当てはめず、サンプル試験で未処理品との比較条件を決めることが大切です。
| 選択肢 | 向いている状況 | 事前に確認すること |
|---|---|---|
| 装置購入 | 加工条件と生産量が固まり、継続的に内製したい | 設置場所、電源・圧縮空気、集塵、搬送、保守、法令対応 |
| 受託加工 | 初期投資を抑えて試作したい、特殊装置や測定を含めて依頼したい、量産工程を外注したい | 数量、納期、品質基準、検査項目、支給材・梱包 |
| 装置レンタル | 開発・試作、一時的な増産、装置故障時、購入装置の納入待ちに自社で加工したい | 対象機の空き、運送・据付・工事費、コンプレッサー、研磨材、操作体制 |
レンタルは、整備済み装置単体の貸し出しが基本で、公式掲載の最短期間は10日です。往復運送、据付、操作指導、電源・配管工事などは掲載価格に含まれません。また、レンタル用装置はFDO、SFK、SGFなどに限られるため、故障機と同じ能力・寸法の代替機を必ず借りられるわけではありません。空き状況と加工適合性を先に確認しましょう。
不二製作所のエアーブラスト装置は、複雑形状への鋳砂除去やバリ取り、塗装・接着前処理、微細粗面化、ショットピーニング、金型・部品のクリーニングなどに検討できます。RBは自動車部品・鋳造品・航空機部品などの複雑形状、ナノ・ブラスターは半導体・電子部品・セラミック基板などの微細加工に対応した実績が公式サイトで確認できます。
一方、金属研磨材を大量に投射して大面積を短時間で処理することが最優先なら、インペラ式ショットブラストを含む他方式との比較が必要です。対象業界だけで決めず、必要な表面状態、タクト、ワーク形状、設備条件から方式を選ぶことが重要です。
本サイトでは、各メーカーの特徴や製品のほかに、加工部品ごとに適したショットブラスト機メーカーを紹介しています。
ショットブラスト加工は、加工部品の素材や形状によって適した装置が異なります。不二製作所のようなエアーブラスト専業メーカーも含めて比較する場合は、同じ「ブラスト」でも研磨材の加速方式が違う点を確認し、導入や入れ替えの判断材料としてご活用ください。
とくにカスタマイズ装置は、本体寸法や処理能力を型式名だけで比較できません。候補ワークを使ったテスト加工で、仕上がりだけでなく処理時間、研磨材消費、マスキングや洗浄の工数まで確認すると、導入後の運用を見積もりやすくなります。
公式サイトでは、東京本社・名古屋営業所・大阪営業所でもテスト加工が可能と案内されています。来社先やサンプルの送付先、必要な数量は事前に確認してください。
不二製作所は、定期保守、修理、用途や性能に合わせた改修工事、出張メンテナンスに対応しています。作業環境測定を行う登録機関として、粉じんの作業環境測定や定期自主検査の代行も案内しています。法令ページでは作業環境測定を本社から100km圏内の想定としているため、対象地域は問い合わせが必要です。
公式サイトでは、作業環境測定を6か月に1回以上、局所排気設備の定期自主検査を1年以内ごとに1回と案内しています。ただし、必要な届出・測定・検査は装置構成や作業内容で変わるため、自社設備に適用される法令と実施範囲を導入前に確認してください。
不二製作所は、エアーブラスト(サンドブラスト)装置を中心に、手動機、連続処理機、ロボット搭載機、微細加工用装置などを展開するメーカーです。なかでも、ノズルの位置や噴射条件を調整しやすいエア式の特性を生かし、複雑形状、限定部位、微細加工、少量多品種から自動量産まで幅広い工程を検討できます。
一方で、インペラ式ショットブラスト装置は取り扱っていません。まず加工面積、処理速度、研磨材、ワーク形状からエア式が適切かを判断し、そのうえで装置タイプと噴射方式を比較する必要があります。条件が固まっていない場合は、テスト加工や受託加工、レンタルを利用して、品質と運用コストを確認してから導入を検討するとよいでしょう。
| 法人名 | 株式会社不二製作所 |
|---|---|
| 本社所在地 | 東京都江戸川区松江5-2-24 |
| 装置検討・修理相談 | 03-3686-5104(東京本社) |
| 部品・研磨材購入 | 03-3686-5806(東京本社) |
| 営業時間 | 公式サイトに記載なし。問い合わせ時に要確認 |
| 公式HP | https://www.fujimfg.co.jp/ |
ショットブラスト機は、加工部品の素材や形状に適した装置を選ぶことで、処理速度の向上やコスト削減が可能。メーカーごとに得意とする部品のタイプが異なるため、加工する部品に応じた装置選びが欠かせません。ここでは、部品ごとにおすすめのショットブラスト機を扱うメーカーを紹介します。
太洋マシナリー
鋳造・鍛造・製缶・製鋼部品の附着砂や錆・スケール落しを目的とし、ワークの形状・材質・処理能力に対応したショットブラスト装置をカスタム対応。
標準機械も取り揃えており、用途に応じたレイアウトとオプション仕様でセミカスタム設計しています。
高性能セパレーターと最適なライニング材で不純物を除去し、鋳造・鍛造・製缶・製鋼部品の製品表面仕上がり状態を改善し、消耗部品の延命が期待できます。
用途に合わせて消耗部品やキャビネットライニングの材質と取付方法を選定し、メンテナンスを簡素化します。
不二製作所
1μm以下の超微粒子研磨材を安定して噴射できる装置に、独自の研磨材定量制御技術を搭載することで、低圧での安定噴射を実現。
繊細な製品加工の再加工や検査負担を軽減します。
精密加工向けに多関節ロボット自動化を搭載したショットブラスト機を提供。
クリーンルーム環境での運用にも配慮し、処理精度と清浄性の両立をサポートします。精密生産ラインにも組み込みやすい設計です。
Wheelabrator
(ホイール・アブレーター)
航空機メーカーと共同開発し、航空部品に特化した装置を提供。
処理条件や稼働状態をリアルタイムで記録・管理できるトレーサビリティ機能により、航空機・宇宙開発業界の厳格な品質要求に応えます。
疲労強度の向上や応力腐食割れの抑制など、航空機部品で重視される性能改善に特化したショットピーニング装置を開発。
CNC制御や多軸ロボットによる精密な噴射制御で、均一なピーニング処理を実現します。